男性と女性の性欲には大きな違いがあります。
どちらも性的な刺激で興奮が高まり、絶頂に至ることは同じなのですが、
男性の場合は、女性とは違って高まった性的な興奮が、オルガスム、射精を境に急激に低下するのです。
たとえるなら、山の高みに登って、絶壁からまっさかさまというところでしょう。
これは女性にはあり得ないことです。
思いっきり射精したとたんに、たった今自分が抱いていた女性への関心が、急に醒めてしまい、そっぽを向いてしまいたくなるのですから困ったものです。大人の男性は、あからさまに態度には出さないよう努力はするでしょう。でも、まだロマンチックなムードの中にいる女性を置いて、セクシュアルな行為からはさっさ取っ手を引いてしまう男性はやはり多いでしょう。よくカップルで女性が性的に不満を持つのはこの男性の豹変ぶりによるものです。
これは、女性と男性のD/sセッションでもやはり大きな問題となります。
女性に責められて、「絶対服従いたします。」「あなたの奴隷です。」といっていた男が、絶頂を迎えて白い液を噴出してしまったとたんに、「今までのおれはなんだったんだ」とばかりに急に気分がしらけてしまい、ご主人様にお仕えするのがえらくおっくうなことになってしまいます。
ドミナント女性からすると、これはまったくおもしろくないことです。ついさっきまで心から服従し、ひれ伏していた男が、急に態度が変わって、ちょっと横柄で不機嫌そうになるのですから。
女性の側だけでなく、男性の側でもこれは辛いことです。誠実なサブミッシブ男性は、オルガスム後のしらけた醒めた気分の中でも女性に精一杯の服従をしようと努力します。射精直後のD/s行為は、はっきり言ってぜんぜん楽しくないです。むしろ苦痛ですらあります。性的興奮の伴わない苦行だと言えるのではないでしょうか。
そんな状況で屈従している自分に、次第に少し興奮できるようになってきます。それは性欲動が少し回復してきたということなのでしょう。
こういう男性の性質を知っている女性は、できるだけ男性のオルガスムの回数を減らそうとします。レディ・ミサトは妻が夫を思い通りに操るテクニックの中で、次のように書いています。
夫は性的にクライマックスを迎えて満足してしまったとたんに、妻と約束したこと、家事仕事やその他の取り決めを忘れてしまうかもしれません。または、意識的にそれらを反故にしようとするかもしれません。(中略)
夫の妻への服従をより確実なものにするためには、夫の性欲を妻が管理する必要があります。男性は性的に完全に満たされてしまうと女性にサービスしようという気持ちは極端に低下してしまう傾向があります。そこで、妻はできるだけ夫に性的なクライマックスを与えずに、ぎりぎりまでフラストレーションを与える必要があります。これがFemDomカップルに置いては一番いい方法なのかもしれません。射精管理は、射精というご褒美を人質にして服従を迫ると同時に、男性をよりサブミッシブな状態に保ち続けるという、二重の効果もあるというわけです。
でも、男性にとって、これは本当に辛いことですから、かなりの覚悟がないとできないでしょうね。