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被虐と奉仕


前回アップした、奥さんが夫のカミングアウトを受け入れられずに怒っていたことについて、少し考えてみたいと思います。
まずはサブミッシブの心理について少し整理してみます。
サブミッシブをマゾヒストと同義と取っても、今回は問題ないと思います。
サブミッシブの行為は、実際場面では「被虐」と「奉仕」の2つに分けて考えられます。
被虐は、いわゆるプレイ、鞭打ちや拘束、顔面騎乗や乗馬プレイなどです。しかし、これらプレイだけでなく、無理矢理いうことをきかされたり、恥ずかしい思いをさせられたり自分の無力さをことさらに感じさせられたりといった精神的な「辱め」も被虐です。貞操器具による射精管理などは、その代表的な例かもしれません。
それに対して「奉仕」は、ドミナント女性に尽くす、ひたすらサービスすることです。これもサブミッシブの大きな要素です。女性の前でひざまずいて足をマッサージするのなど、想像しただけでもゾクゾクするという方も少なくないでしょう。それに、お仕えする女性の喜びを自分の喜びと感じる感覚もサブミッシブ男性なら多かれ少なかれ持っていることと思います。
この2つの要素は全くかけ離れているというわけではなく、重なっている部分、関連している部分もあります。しかし、女性と男性がドミナントとサブミッシブとして、生活の中で関係を持っていく場合は、この2つははっきりと分けて考える方がいいと私は考えます。
まず、男性の側が心の中で求めているのは、ほとんどの場合「被虐」です。パートナーの女性に鞭を振るってほしいのです。自分に命令して、縛り付けてお仕置きしてほしいのです。
一方、女性の側は、パートナー男性の「被虐」、つまり「加虐」に興味をそそられるケースはまれです。パートナーを喜ばせる行為として興味を持つことはあっても、男性としては悲しいことに、自分自身が本気でサディスティックな喜びに浸るということはほぼ期待薄です。
この男女の食い違いを理解できていないとカミングアウトで失敗します。
男性はパートナーの女性にカミングアウトするときは、もしもフルタイムの関係を望むのならば、できるだけ奉仕の割合を高めて、被虐の割合は抑えて接するべきです。パートナーの女性がサービスされることに慣れて心地よさを実感するに従って、少しずつ加虐/被虐の行為の割合を高めていくのです。これはエリスさんも言っていることですね。
パートタイム、つまり寝室の中だけのSM行為を求めるならば、ここまでの慎重さはなくても大丈夫だとは思いますが、女性が男性に合わせているのだという感覚だけはもっておいた方がその後の人間関係を考えると安全だと思います。
男性側がカミングアウトで気を遣うことについてばかり書きましたが、女性の側も男性がそのような願望を持っているのだということを理解して「被虐」願望も満たしてやってほしいですね。

さて、前回の「妻の困惑と怒り」について考えてみましょう。
この夫はちゃんと奥さんに奉仕することから入っています。奥さんは夫が家事などをやってくれて好ましい感情を持っていました。ところがバレンタインデーにムチと革ランジェリーを贈られて激怒したのです。
この夫、奥さんにサービスはしましたが、この奥さんにはムチと革ランジェリーはまだ早かったのでしょう。もっとソフトに、自分の心の内の告白だけにすればよかったのでしょう。想像以上にこの奥さんはかたくなでしたね。
ムチや革ランジェリーなどのSMプレイとして知られているものは、過激なイメージが先行してしまうのですね。この奥さんはその過激さが耐えられなかったのではないでしょうか。
ただ、この婦夫、必ずしも失敗に終わったとは限りません。この後どうなったかは知りませんが、私はこの後案外うまくいったのではないかという感じがしてなりません。
そう思う第一の要因は、この奥さんは夫を愛しているという感情をはっきりと持っていることです。そうでなければこんなに憤らないでしょう。今まで愛情で結ばれていたパートナーだからこそ、その愛情関係を維持したいと思っているからこそ、自分に迫られた変化に対して猛烈に反応しているのだと思います。そうでなければもう冷たく切ってしまえばいいのです。
なんにしろ、この奥さんは自分を納得させられるならば夫と一緒にうまくやって結婚生活を維持したいと考えているはずです。エリスの回答にそれを求めていたのだと思います。エリスははっきりと、このようなタイプの男性の願望を拒否したのならば、必ず結婚外でその欲求充足を求めるはずだと書いています。(その通りだと思います)この女性はそれを選択するとは思えません。なんとか夫を満足させながら自分も満足できる結婚生活にしていこうという方向にいずれ持って行くと思うのです。この人はそうするだけの精神的エネルギーを持った女性です。
もしかしたら、自分の中では無意識的にもうそのような方向付けができていたのかもしれません。でも、何かおさまらない気持ち、それをエリスへの不満という形でぶつけたとも考えられるのではないでしょうか。
もう一度この相談文を読み返してみました。

>オーケー、今私は、夫が、革を身につけた女性の奴隷になる空想を持っていることを知っています。けれども彼が私が喜びそうなことを引き受けることで、多くの妻たちが喜ぶことを引き受けることで、なんとも容易に私を操って夫のファンタジーのオブジェクトにさせようとしたのです。

実は、この女性が一番憤っていることは、「自分がしらないうちに夫に操作されていた」ということなのです。
相手に操作されることに怒るという反応、これは相手に支配されることに反発しているといえるのではないでしょうか。
こういう反応をすること自体が、この女性はもうドミナント的ではないかという感じがしてしまいます。つまり、自分は相手を操作する側、支配する側でないと満足できないといった・・・
この女性は、1度割り切ってしまえば、理想的なドミナントワイフになる気がします。
この後どうなったかはちょっと知りたいですね。
tramp410.jpg

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サブミッシブ

良い文章ですね。何度も読み返してしまいました、前回のモノと。 私のS女性パートナーは西洋人でして、僕ら日本人の共通のSM用語が通じない?ようなのですが、例えば、女王様という用語は有名ですが、マゾ、という単語も少し違和感というか、湾曲して伝わります。言葉って大切ですね。 サブミッシブ

谷村陳兵さんへ

こんにちは
日本の用語とあちらの用語はほんと違いますよね。
まず、あちらではSMという単語はあまり使いません。たいていD/sですね。それにあちらではマゾヒストというのは日本でいう「ハードマゾ」のこと。極度の痛みを伴うプレイでないと快感を得られない人のことを指しますね。
このサイトはあちらの体験談の訳が多いのであちらの用語を使いたいのですが、読んでくださる方は日本人・・・悩ましいところなんですよ。

西洋人のミストレス、どんな感じなんでしょうね。興味あるな。

No title

こんにちは。何度か覗かせていただいています。毎回読み応えのあるコンテンツをありがとうございます。

>これは相手に支配されることに反発しているといえるのではないでしょうか。

ぞわっとしました。考えてみれば、ドミナント的な女性でなくても不快なことだと思いますが、その怒りといらだちの原因にフォーカスすれば、仰るように関係をスライドさせられるのかもしれません。

ところで私はS欲求のある女性で、どちらかといえば奉仕されるよりも加虐したいほうなので、こちらの文章を読みながら「ふつう」の女性の感覚を学んでいく思いです。
本当にマッチングは難しいというか、M男性はS女性よりも数は多いのでしょうが、恋愛対象になる男性がM属性という率はS女性を見つける率ぐらい低く、バレて引かれる率も同じぐらい高いですよ。

コメントありがとうございます

S女性の方がブログを見ていただいているとのこと、うれしく思います。
内容はやや物足りないかもしれませんが・・・

女性の側にSの方はめったにいないというのは、Ivy Green,Caroline PeerなどのFemDomカップルについてのガイド本のほとんどに書かれています。体験談でも男性の方から言い出さなかったら、普通の妻として一生生活していくつもりだったという女性が多いです。
S欲求を持った女性はやはり少数派なのだろうと思います。貴重な存在ですが、なかなかあからさまにできる性癖ではないですからね。難しいところですね。

また時間があったらコメントください。
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kaisub

Author:kaisub
既婚のサブミッシブ(M)男性です。

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