はじめにお断りしておきます。今回は理屈っぽいです。
あるFemDomのカップルが、スパンキングを行っているとします。もちろん、叩くのは女性で、叩かれるのは男性です。
女性は相手に攻撃を加えることに興奮を覚え、男性は自分が攻撃されることに性的興奮を覚える・・・SMプレイはそのように考えられますが、実際は、そう単純ではありません。SMは、相互作用であり、相手との関係が常に重要な要素です。
女性は相手が苦しんでいるのが楽しい。しかし、相手を殺したり、不幸にしたいと望んでいるわけではない。むしろ、相手がそれを望み、満足しているからこそ、安心して心いくまで相手を攻撃できるのです。
パートナーをこっぴどくやっつけようとしながら、その心の奥では、パートナーを満たしてやろうという気持ちが働いているのです。
いわば、ミストレスの女性の心理は、表層、深層の二重構造だと言えるのです。
一方のM男性の方も、同様、いや、もっと複雑です。
厳しいスパンキングに、尻は真っ赤、熱く燃えるように痛みます。
「お願いします。もうお許しください。」
必死に懇願します。ほとんどの場合、これは本気ですね。
しかし、心の奥の方では、責められている、いじめられている自分にすごく興奮しているのです。
自分が苦しんでいる状況を肯定しているのです。自分をひどくいじめて、苦しめてくださいといっています。
そして、その奥には、さらに違った意識が存在します。
それは、「性的に満たされたい、満足したい」という意識です。
スパンキングでなく、貞操器具によるオルガスム剥奪の例で考えると、男性の三層構造の心理がよくわかります。
貞操器具にロックされて・・・・つらい、「お願いします。出させてください。何でもします。」という行動。(第一層)
でも、貞操を支配され、思い通りの奴隷にされていく自分に興奮している。(第二層)
性的に満たされたい・・・今は、射精という物理的要素よりも、支配されているとい精神的要素に、より興奮している自分がいる。(第三層)
この第二層と第三層が自分の中でけんかすると、あるいはぎくしゃくすると、Mをやっていてつらくなってきます。
深層にあるものが表層に出てきてしまうと、満足できないものです。奴隷を思うミストレスが愛を込めてフェラチオしてあげたとしたら、奴隷は逆に醒めてしまうでしょう。ミストレスは奴隷を愛するが故に意地悪く、冷酷無情になります。それに奴隷が満たされるのですから。
時に、奴隷は満足を剥奪されることで満足するということすらあります。
やっぱり矛盾をかかえてますね。