M男性が結婚し、妻にその性癖をカミングアウト、妻の理解を得て、時折SMプレイをしてもらうことができた・・・そんな幸運を手にした既婚M男性は、おそらくは、多くはないにしろそれなりにいるのではないかと思います。
しかし、そういった関係を維持していくのは意外に難しいのではないでしょうか。夫婦は生活の糧を得るための仕事をし、食事、掃除、洗濯などの家事をこなし、子供ができれば育児をするなど、日々忙しくタスクをこなし続けなければなりません。家庭生活を維持する中でFemDomプレイを続けていくのはなかなか難しいものです。女王様と結婚したのに、生活に追われる中で、S妻がいつの間にか普通の疲れた女房になっていた・・・なんて話はけっこう耳にします。
結婚生活は続いてもM夫はM夫ですが、S妻はいつの間にかS妻としての熱意をなくしてしまうことが多いのです。
これにはひとつ大きな原因があります。前々回のエントリーで、S女性は男を責めるプレイで純粋に性的興奮を得ることは少ないということを書きました。多くの場合、女性は責めることでパートナーを喜ばせ、愛し合う一体感を得ることが大きなモチベーションになっていると考えられるのです。それに自分が優位に立つという楽しさもあるでしょう。
結婚生活でのS妻は、寝室では夫をさんざんにやっつけ、足下にひれ伏せさせます。夫は卑屈な態度で「絶対服従します」「何でも言うことを聞きます」とひざまずいて言います。
ところが翌日の朝、妻は早く起きて食事を作り、食器を洗い、慌ただしく洗濯をする。その脇で、ゆうべ足下にひれ伏していたはずの夫はふんぞり返って新聞を読んでいる・・・こういったギャップは、妻の心に冷たいすきま風を吹き込みます。
寝室の中では卑屈な奴隷のくせに、日常生活に戻ると偉そうな態度でろくに家事を手伝おうともしない夫。逆に寝室では女王様のはずなのに、日常では逆に奴隷のように働かなければならない自分はいったい何なのだろう?
こういう気持ちが起こってくると、夜のベッドで自分が夫を責めていること自体が、ただ夫のわがままにつきあわされている、夫へのただの奉仕であると感じられてきます。しらけてくるのは当然です。
ましてや子供ができたりすると、たいていの妻は夫とのやりとりがご無沙汰になっても子供を愛することで気持ちが満たされてしまいます。こうなれば夫を責めるなんてどうでもいいことになってしまいます。
夫婦のFemDomプレイを維持していくためには、まずはこの夫婦のギャップを極力作らないようにする努力だと思います。
M夫としてやっていくつもりなら、覚悟を決めて、思い切って自分の家事分担を増やしていくのが大切でしょう。また、妻への細かな思いやりを見せ、細やかなサービスに心がけることも大切だと思います。
M夫としての気持ちを見せることはS妻を満足させ、夫の気持ちに少しでも応えようという気持ちにさせることでしょう。また、妻は家事労働が少しでも減ることで精神的にゆとりができると、夫との関係にも気持ちが向きやすくなります。
そして何よりも寝室の支配的な立場と日常の立場のギャップが小さくなることはS妻にとって気分がいいものです。
FemDomの夫婦関係を維持していくのは努力が必要です。普通の夫よりも大変だと思います。それがかったるかったら、夫婦でFemDomなんて考えない方がいいかもしれません。
実際、最初からあきらめて、割り切ってSMクラブに通うというのもひとつの選択肢なのではないかと思います。